自分の性別に違和感を感じているジュンと、自暴自棄の自己中美人。
すべてにおいて対照的なふたりがたどり着く「生きることの意味」とは…。

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舞台は都会でもなくど田舎でもない、どこかの地方。
ジュン(純子)とあかりは高校時代の同級生で、互いの恋愛には口出しをしないルームメイト。

ジュンは付き合っていた女子に「好きな男ができた」と突然フラれ、子供の頃から抱いてきた自分の性への違和感が一層増してしまう。
一方のあかりは、不倫相手(職場のイケメン)の前で「物分かりのいい女」を演じてしまう自分に苛立ちを隠しきれず、女の自尊心を保つために常に職場の男を品定めしている。すでに何人かはお試し済み。

ある日、誰が父親か不明の妊娠をしたあかりは、ジュンに中絶費用を借りようとする。
しかし、ジュンから返ってきた答えは「堕ろすなら、自分にちょうだい。赤ちゃん」だった。

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この作品が長編デビューとなる山本 文(やまもとあや)監督。性同一性障害の友人の話を元に脚本を執筆したものの、予定調和なLGBT作品に仕上げていないところがポイント。

物語の中では主人公ジュンの性同一性障害を誰も否定しないものの、「今までひとりでよく頑張ったね」とか「私は応援するよ」という過剰なエールもない。ただ淡々と「だから何?」「後悔しないように焦らずちゃんと考えて」というリアルな言葉が投げかけられる。
ネタバレになるのでラストのジュンが見つけ出す答えはここではバラしませんが、「性転換して女性になりたい」のか「普段は男のままでたまに女装をするほうがいい」のかを迷っているフェミニンゲイの方は必見のラストが待ってます。
ちなみに、演じる手塚真生(てづかまい)ちゃんがすっごいイケメンです。

ゲイアプリでは顔を出さずに体を晒し、週末のハウリングでひたすら「mrmr」と呟き続ける積極的なのか待ち子なのかはっきりしないゲイの方、ハッテン場ではそれなりに需要があるのになぜか彼氏ができない「使い捨てオナホ」ゲイの方は、自分がヤリ捨てた男からはしつこく誘われるのに本命からは二番目扱いしかされない、あかりのほうに共感するかも。

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「変わりたい」と思いホルモン治療を受ける決意をしたジュンと、「変わりたくない」と思いつつ妊娠で様々なことが変わってしまうあかり。そんなふたりが、互いに支え合い、ぶつかり、傷を舐め合い、苦難を乗り越えたとき、ひとつの答えにたどり着きます。
でも映画のタイトルの「たゆたう」のごとく、人は生きている限り人生という海にゆらゆらとたゆたい続けます。いったん「ひとつの答え」という浜辺に流れ着いたふたりも、寄せて返す波とともに新しい海へと旅立ちます。

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そうそう、木下ほうかの(普通の医師役なのに)ラスボス感漂う怪演と、名脇役の大御所・斉藤 暁(さいとうさとる)が演じる予想外の役も必見です!

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映画『たゆたう』
2017年4月1日(土)~4月14日(金)新宿 K’s cinemaにて上映
※初日舞台挨拶、公開中トークイベント開催予定!詳細は公式WEBSITEまで
2017年/日本/91分/原作・脚本・監督:山本 文/出演:寺島 咲、手塚真生、木下ほうか、海東 健、宮本真希、芹澤興人、清水ゆみ、魏 涼子 、斉藤 暁、秋山タアナ、水野あや他/配給:モラモラブレス
http://tayutau-movie.com

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