©︎ 2017 Yasushi Ebihara “judgement” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “judgement” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

2017年6月2日(金)~6月30日(金)までギャラリー「KEN NAKAHASHI」において、1年半ぶり2度目となる美術作家・海老原靖の個展「tarot(タロット)」が開催されます。今回発表する作品は「マコーレー・カルキン」シリーズと称される一連の作品の集大成であり、様々なポーズで人形のように佇むマコーレ・カルキンが、一枚一枚のタロットの寓意やシンボルとして登場します。性的な匂いを放ちながら刹那と狂気の間の消えゆく美として表出された作品を、ぜひこの機会にご覧ください。

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The Fool” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The Fool” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The Sun” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The Sun” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The Star” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The Star” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The World” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

©︎ 2017 Yasushi Ebihara “The World” Oil on canvas / Courtesy KEN NAKAHASHI

海老原靖「tarot」

子供の頃より銀幕の世界に夢中だったという海老原靖は、映画そのものや華やかな芸能界に生きるハリウッド子役、女優、煌びやかな衣装などのモチーフを、多様なスタイルや技法で作品に取り組んできました。
絡み合う髪の毛を描いた「LUST」シリーズ、華やかなドレスを描いた「dress」シリーズ、映画のワンシーンを切り取った「NOISE」シリーズ、90年代に爆発的人気を得たマコーレー・カルキンをモチーフに描く「マコーレー・カルキン」シリーズなど、ペインティングを始め、立体、写真、パフォーマンスなど様々な形で制作しています。
その中でも、「マコーレー・カルキン」シリーズと称される一連の作品では、子役として一世を風靡し、その後ドラッグ騒動など度重なるトラブルで芸能界を引退し、波乱万丈な人生を歩んできたマコーレー・カルキンを、消えゆく美の象徴として、また刹那的な理想の瞬間への熱望を体現する存在として描いてきました。
フィルムに刻まれた永遠の少年時代とスクリーンを離れ年老いていく事実、幻想を抱き続ける事による喪失感、どうしようもなく取り憑かれた妄執ーー大きく見開かれたままの目、大きな頭、細長い手首のほっそりした身体は、得体の知れないものへの潜在的な恐れを、鬱々と自分の内部に向けているようです。冷たく寂寛とした白昼夢のような世界に、デフォルメされた人物や玩具や人形などのモチーフが、刹那と狂気の間の消えゆく美として表出しています。

「マコーレー・カルキン」シリーズには、15世紀から伝わる宗教絵画で用いられているグレース技法が用いられています。薄い絵具の層を細く柔らかい筆で何層にも重ねて、透明感と色調の深み、きめ細かな質感を生み出す精巧な制作の過程は、ショービス界で消費され使い捨てされていく人々へ向けられた海老原の祈りのようです。
この度、発表する新作は、「マコーレー・カルキン」シリーズの集大成ーータロットカードの「愚者」から「世界」までを描いた22枚の連作です。様々なポーズで人形のように佇むマコーレ・カルキンが、海老原が収集した使い捨ての玩具などと共に、一枚一枚のタロットの寓意やシンボルとして登場します。
構想から約10年、制作に1年近く費やしたこの新作群について海老原は、「この世界のどこかで何かが起こっているが、大概のことは知らない。限定的な狭い範囲の情報をもとに生きている。絵を描く上で考えることは、自分が知っていることなんて些細なことということ。一つのイメージに縛られない、イメージが増殖していくような、悲劇と喜劇が隣あわせにいるような絵が作れたら」と語りました。

新境地に立つ海老原が創り出した、放浪者の新たな世界を是非ご高覧下さい。

美術作家・海老原靖
1976年茨城県生まれ。2001年に東京芸術大学大学院修士課程修了。現在は東京を拠点に活動中。主な展覧会に2015年個展「STRANGER」(Wada fine Arts)、2014年個展「camouflage」(Wada fine Arts)。主な受賞歴に、2006年エプソンカラーイメージングコンテスト特選、GEISAI#10 GIANT ROBOT賞がある。

◆展覧会詳細
名称:「tarot」
会期: 2017年6月2日(金)~6月30日(金)
時間: 13:00 – 21:00
休廊: 日・月
会場: KEN NAKAHASHI (160-0022 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階)
TEL: 03-4405-9552
問い合わせ: info@kennakahashi.net
https://kennakahashi.net/ja/exhibitions/tarot

◆関連イベント
N’SYNCH 第4幕: Party Monster
ステファン・サラザン氏のキュレーションとレクチャーによるビデオ・アート・シリーズの第4回目、「N’SYNCH 第4幕: Party Monster」を開催します。
日時: 2017年7月1日(土)16:30 – 17:30 / 18:00 – 19:00 ***二回入れ替え制***
映画、メディアアートの専門家として、東京とパリをベースに大学教授、キュレーター、批評家として活動するステファン・サラザン氏のキュレーションによるKEN NAKAHASHIでのビデオ・メディアアート・シリーズ「N’SYNCH」。海老原靖の個展を締めくくるべく、海老原のテーマと深い関連性にある映像を取り扱った上映会とディスカッションを行います。
紹介する映像作品は、スクリーンの裏の現実で進む刻による加齢と劣化、幻想への執着によって歪められた、儚い瞬間に焦点を当て、若さからの脱却のイメージを試みています。

紹介作家:ケネス・アンガー、バス・ヤン・アデル、レイモンド・ペティボン、トレイシー・エミン、クリスチャン・マークレー、トニー・オースラー、ピピロッティ・リスト、ダグ・エイトキン

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