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あらすじ/作家のボールドウィンが盟友メドガー・エヴァース、マルコムX、キング牧師を題材に書いていた「Remember this House」。その、30ページで止まったままの作品を原作にしたドキュメンタリー映画。アメリカで差別が当たり前だった時代から、人々がどのように声を上げ、世界を変えていったのか。ボールドウィン自身の体験と鋭い洞察力で、母国アメリカの人種差別の歴史と正体を解き明かしていく。


この映画は、アメリカ黒人文学を代表する作家、ジェームズ・ボールドウィンの原作を映画化したドキュメンタリー映画。同性愛を描いた「ジョバンニの部屋」の著書でも知られている彼だが執筆活動に専念していた時代は、人種差別がひどくアメリカでは黒人というだけで生命に関わる生きづらさを感じるほどであった。そんな彼があるニュースをきっかけに執筆活動の拠点パリから故郷のアメリカへと戻る。それは、アメリカ南部シャーロットの高校に黒人としてはじめて入学するドロシーという少女が映されたニュースだった。彼女が入学することに反対する白人たちが、ツバを吐き、抗議のプレートを掲げ、そして嘲笑していたのだ。
そこから、マルコムX、キング牧師、メドガー・エヴァースなど、一度は聞いたことがあるだろう公民権活動家らとの出会いを経て、それぞれの立場や方法は違えど黒人への差別をなくすために活動を続ける。その活動は白人社会のアメリカにとって脅威となり、後に彼らは何者かによって暗殺されてしまう。

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本編の、ボールドウィンの幼少期からの回想を含めた当時のアメリカの様子は、黒人にとってどれほど生きづらさを感じるかを克明に映し出している。物心がつき自分が黒人であることを知る絶望感、白人が知らない黒人の生活、上映される映画は英雄が白人であることが当たり前で、短くして理不尽に命を落とす友たち。決して生易しくはない、幻想ではない現実がそこにはあった。しかし、それと同時に差別に立ち向かった盟友たちの姿も映している。現在へと続く道を作った彼らの姿は、決して忘れてはいけない存在であると訴えている。また、ボールドウィン自身は、差別とは何か、なぜ白人は黒人を差別するのか、なぜ白人には差別が必要だったのか、人が人を差別する理由について迫っている。最後に語られる彼のスピーチは、オバマ前アメリカ合衆国大統領も引用する名スピーチで、ぜひ本編のアメリカの歴史を知った上で耳を傾けてほしい。これからも忘れてはいけない、強いメッセージがきっとあなたの胸を打つはず。


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●画像左/マルコムX…知性的かつ過激な発言で知られブラック・ムスリムの最大組織NOIの若きカリスマとして活躍。非暴力のキング牧師を批判し真っ向から対立する。1965年、組織内の対立で暗殺される。
●画像中/キング牧師…「非暴力・非服従」を掲げる公民権運動のリーダー。1963年のワシントン行進での演説は20世紀最高の演説と言われ、1964年に成立した公民権法と同年、ノーベル平和賞を受賞。1968年に白人男性に暗殺される。
●画像右/ジェームズ・ボールドウィン…マルコムX、キング牧師らとともに、60年代公民権運動の中心的人物・思想家として活躍。志半ばで倒れた盟友たちの軌跡を綴った原稿を残す。没後30年。

映画 : 私はあなたのニグロではない
2018年5月12日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督:ラウル・ペック/語り:サミュエル・L・ジャクソン/原作:ジェームズ・ボールドウィン「Remember this House」/アメリカ、フランス、ベルギー、スイス/2016年/英語/カラー/DCP/93分/原題「I AM NOT YOUR NEGRO」/日本語字幕:チオキ真理/字幕監修:柴田元幸/配給・宣伝:マジックアワー
http://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/

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