©SAKIKO NOMURA

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男性のヌードという1つのテーマを20年以上撮り続けてきた作家の凄味。約100名の男性被写体それぞれとの出逢い、そして何万枚にも及ぶプリント写真。写真家・野村佐紀子が切り取った慈愛に満ちた時間は「バイブル」へと昇華する。

ベッドルームでの親密な関係を思わせる男性ヌードを20年以上も撮り続けている、写真家・野村佐紀子。大学時代、写真学科の先輩から「お前、男性ヌード撮ってこいよ」と言われたことをきっかけに男性ヌードを撮るようになったそうだが、彼女の映し出す独特な光と闇の世界は「造形の美しさ」だけではなく、確かに被写体の鼓動とぬくもりが封じ込められている。その理由は、海沿いの町に育ったことが影響しているのかもしれない。毎日高校の帰り道に逆光の西日に照らされた世界を眺め、そのうち日が暮れて海と空の境界線が薄れていく。薄暗い世界に浮かび上がる船の灯りは、目には見えないけれど確かにそこに人の息吹が感じられる。そんな世界の中で育った彼女だからこそ、彼女が映し出す写真には命が宿るのだろう。

そんな写真家・野村佐紀子の集大成ともいえる写真集「愛について」が発売された。約100人の男性を20年以上に渡り撮影した数万点の中からセレクトされた400ページ。被写体との出逢い、魂の繋がり、過ごした時間。その慈愛に満ちた写真の数々は、野村佐紀子の作品に感銘した一人の編集者の企画により「バイブル」という形でまとめられた。装丁を手がけたのはSOPUDESIGNの尾原史和氏。「人との繋がりを感じられるように」と外観全てを小口まで黒く染め上げ、表紙にはタイトルと著者名だけ。漆黒の闇を開いたとき、野村佐紀子が照らし出す世界が浮かび上がる演出になっている。きっとこの1冊が、あなたの心にも小さな灯りを灯してくれるに違いない。
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本書には男性ヌードだけでなく、花火、雪、桜、部屋、海、空、そして動物の写真も掲載。闇を照らす光が被写体の輪郭をなぞるモノクロームの世界。野村佐紀子の世界に閉じ込められた空間は独特のぬくもりと息吹を感じさせてくれる。


野村佐紀子/1967年山口県生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。91年より荒木経惟に師事。93年より東京中心にヨーロッパ、アジアなどでも精力的に展覧会をおこなっている。写真集多数。被写体との独特な距離感を持った情感溢れるポートレイトは特に定評があり、人気俳優や女優などからの指名を受けることも多い。2017年、東川賞新人作家賞受賞。
http://www.nomurasakiko.com



ーーー写真集のイメージは「バイブル」だそうですが…。

写真集のデザインをお願いするために、たくさんの写真をデザイナーの尾原さんに渡しました。そして、尾原さんから、この写真を大切に見てもらうためにバイブルのようなものにしましょうと提案して頂きました。とても嬉しい提案でした。購入してくださった方々が常に傍らに置いておきたい愛読書になりますようにと、いう思いを込めています。

ーーーバディ読者にメッセージをお願いします。
写真集「愛について」を通して、自分自身や、誰かとの愛について、思いを巡らせてもらえると嬉しいです。

ーーー写真集「愛について」を出版された経緯を教えてください。
2年前に女性編集者の岡田麻美さんから「写真集を作りましょう」とお話いただきました。様々なことを決めていく中で、岡田さん自身が出版してくださるということになりました。その岡田さんの大きな決断に寄り添うためにも、私の写真人生の中でずっと大切に撮ってきた男性のヌードをしっかり本にしたいと思うようになりました。

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愛について
野村佐紀子 写真集 : 愛について
著:野村佐紀子/ブックディレクション:尾原史和 SOPU DESIGN/発行:ASAMI OKADA PUBLISHING/発売:ライスプレス株式会社/書店発行日:2017年12月15日/判型:A5 上製本 400頁/4000円+税/ISBN:978-4-9909235-7-0 ©SAKIKO NOMURA
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