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・世界で最も歴史の長いベネチア国際映画祭が9月に開催した。そこで上映された注目すべきクィア映画をご紹介。

映画祭期間中に上映される作品の中からLGBT要素があり、なおかつ最も優れた作品に賞を授与するクイア・ライオン賞にはアイスランド映画『Heartstone』が選ばれた。

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 『Heartstone』

海辺の田舎町に住む少年が次第に自分のセクシュアリティに目覚めていく様を、繊細かつリアルに描きだし最後は大きな感動を呼ぶ傑作だ。上映後は大きな拍手が場内に鳴り響いた。

フランス映画『Jours de France』は、出会い系アプリを使ってフランス国内を旅し、エッチの相手を探し回る青年の姿をドライなユーモアで淡々と描いた奇妙な魅力の持った作品。

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 『Jours de France』

コンペティション部門で監督賞を受賞したメキシコ映画『The Untamed』は、姉の夫とセフレ関係にある青年医師がある女性と知り合い不思議な事件に巻き込まれる様をシュールなイメージと共に描いた作品。生々しい男同士のセックスシーンも印象的。

同じくコンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞したフィリピン映画『The Woman who Left』は、無実の罪で服役した女性が復讐する物語にトランスセクシュアルの人物が重要な役割を果たす。同性愛を主題とはしていないものの、ゲイである事を公言しているデザイナー、トム・フォードは『NocturnalAnimals』(審査員大賞受賞)で屈折した愛と暴力の物語を二重構造で物語り、日本でも人気のフランソワ・オゾンは『Frantz』(新人俳優賞受賞)で戦争によって引き起こされた男女の悲劇を描き、それぞれ新境地を開拓しただけではなく高い評価も受けた。全体的にクイア文化の多様性と成熟が感じられた年だった。

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 左上:『The Untamed』右上:『The Woman who Left』
 左下:『Nocturnal Animals』右下:『Frantz』

文・北条貴志

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