文 ◎ 北条貴志/ライター
© Busan International Film Festival / © 2017 TIFF

近年LGBT映画が一般の映画祭で上映されることは珍しいことではないが、それはアジアでも例外ではない。釜山や東京でも度々LGBT映画が上映されてきたが、今年は例年以上に粒ぞろいだった。釜山国際映画祭では欧米の秀作ゲイ映画が揃った。フィンランド映画「Tom of Finland」は、ゲイアートの巨匠として知られる画家トム・オブ・フィンランドの伝記映画だ。第二次世界大戦に従軍してからマッチョな男や制服、レザーに魅了され、戦後アンダーグラウンドな形で独創性あふれるゲイイラストを発表し世界的に有名になるが、私生活では恋人との関係などで苦悩する様を生々しく正攻法で描いていく。ポジティブなパワー溢れるラストなど実に感動な傑作だ。アメリカ映画「BeachRats」は、ニューヨークに住む少年が、ノンケの仲間たちとつるんで悪遊びをしたり女の子とHしようとするが、男に魅せられる性癖には抗えず、夜な夜なネットで男漁りをする姿を描く。ゲイだったら誰でも覚えがある、思春期特有のゲイへの目覚めと周りとの軋轢や内面の葛藤が丹念に描かれ、大きな共感を呼ぶことだろう。

톰 오브 핀란드_Tom of Finland_ST1Tom of Finland

바닷가의 쥐들_Beach Rats_ST2Beach Rats

東京国際映画祭ではアジアのゲイ映画が飛び抜けていた。韓国映画「詩人の恋」は、実際に同性愛関係だったフランスの詩人ポール・ヴェルレーヌとアルチュール・ランボーの関係を基に、妻帯者の中年詩人がある時偶然知り合った年の離れた若い青年に魅了され夢中になり、次第に周囲の人々を巻き込んでいく様を繊細なタッチで描く。近年LGBT映画の秀作を生み出し続けている韓国ならではの作品。日本映画「Of Love and Law」は、大阪で弁護士事務所を共同経営しているゲイカップルの3年間を追ったドキュメンタリー。彼らが手がけた「ろくでなし子」刑事裁判などを通して、現代日本における家族、同性愛、表現の自由などの問題点が浮き彫りになり、社会に対する鋭い批評にもなっている。来年も両映画祭とも質の高いLGBT映画が上映されることを期待したいと思う。

nullOf Love and Law

null詩人の恋

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